「カナカイカイカ第3戦」
2002年5月4日
 

 5月4日、連休後半の土曜日。ちょっと風が出ている。天気は曇り。暑くならなくて、良いかもしれない。そんなことを思いながら、Bさんのマンションに向かった。要領よくカヤックと荷物を積み込み葉山公園に向かう。

 早めに出たせいかゴールデンウィークにもかかわらず、混雑はなかった。公園につくと、見慣れた風景がすでに広がっていた。今回は、河井さんも渋ちゃんの姿もない。思ったよりも風が強く沖のほうには、ウサギもちらほら見える。かなり、厳しいコンディションになりそうである。金井さんを待つ。前回に較べ、緊張感がある。風と波のせいだと思う。 金井さんが到着し、挨拶もそこそこに舟を降ろす。「風が8mはあるでしょう。私は漕がないよ」とのこと。「一応漕いでみて様子をみてみます」と僕。Bさんは、「僕の舟を貸すから、そっちで漕いだほうがいい」と勧めてくれる。前回の感じが残っていたので、カナイさんの舟が漕ぎたくて、シートをセットする。スターンを砂地に擦らないようにと、舟を浮かべて跨り、足を入れようとしたら、いきなり波をくらって沈。一度浜まで戻って場所を変え、再乗艇。今度は、スカートを被せるまでにかなり、波をくらい、舟の中には水が入る。どうにか漕ぎ出す。

 本当に厳しいレースになるかもしれない。それでも、少し漕ぐと舟が自分に馴染んで来るような感じがして、いけそうな気もしてくる。ただ、横方向からの高さのある波やうねりは本当に怖い。一瞬、良い景色になるが、ストーンと落ちる。不安定なエレベーターに乗ってるようで、ヒヤヒヤする。15分程度漕いで何とかいけそうに思えてきたので、あがる。金井さんは、どちらでも、と言われるので、今回も木艇のPAXで挑戦することにした。

 コース説明では、波と風の向きがていねいに説明され、危険な個所の回避方向などを確認する。再び、会場全体にピーンとした空気が張りつめる。シーカヤックでの参加者は別に集められ、再度、参加の意志を確認される。海況が厳しいこと、レスキュー体制は、整っているが、万一、沈した場合は、レスキュー隊が来るまでの安全確保をすることなどが告げられる。

 いよいよ、スタートである。海の状態は、先ほどとほとんど変わらず大きなうねりが沖から短い間隔でどんどんやってくる。止まっていると、バランスをとるのが難しい。合図とともに一斉にスタート。まっすぐ沖のブイまで向かう。波はほぼ真正面からなので、さほど怖くはないが、バウが大きく上を向き一気に下がる。ザブンザブンとコクピットの周辺に水がかかる。速く漕ぐとかいう状態ではないので、バランスをとることを心がける。 前には、シーカヤックが2台。一台は、河井さんの乗っていたモリイズミ艇に乗る前田さん、もう一台は、クロシオに乗る村山さん。真っ黒な顔に笑顔に白い歯、海の似合う方だ。あまり遅れないようにとは思うが、前田さんは、どんどん行ってしまい、小さくなった。こちらは、とにかくバランスをとって漕ぐだけで、スピードはあげられない。ブイを左に曲がり、まっすぐ三浦半島を南下し、荒崎の灯台を目指す直線コースに入った。曇り空で、前方の視界は悪い。

 はるか彼方に前田さん、そして、すぐ横を村山さん。一応、村山さんの前には出てみたものの、今度は右前方からの大きなうねりと時々ブレイクするウサギ状態の波に悩まされる。舟の下を右前方から左後方に気持ちの悪いうねりの山が抜けていく。前に2艇サーフスキーが見えるが、落差のある波にやはり相当苦労している感じだ。うねりの頂点で、一点だけでバランスを保っている時があり、自分の舟も似たようなものなのか、と思うとヒヤ汗が出る。しばらくは同じ状況。僕は、気持ち左側のパドルを長く持ち、ややスイープ気味に漕ぎ、右は短くコンパクトに漕ぐ。スピードは出ないが、この波と風の状況の中でほぼ直進できる。バランスをとり、ヒヤヒヤしながら前を見る。はるか彼方の前田さんは、風のためか、左手に大きくそれている。ふと、気づくとすぐ前の白いサーフスキーが沈をした。慣れている感じですぐに再上艇。

 だんだん、波が大きくなってきたように感じる。どうしてもバウが左側を向いてしまい、舟は、左手に大きくコースをそれる。波がほとんど真横から舟の下を抜けていく。波の頂点にきた時に右側を強く漕いで一気に舟を曲げてみる。2度、3度それをやると、舟は波に垂直になり、もとのコースに向かう。このくりかえしがしばらく続いた。村山さんのクロシオがいつのまにか、並び前に出た。しかし、僕は元のコースに戻ると思うように直進できない。たぶん、左手に疲れが溜まってきて漕ぎが弱くなってきていたのだと思う。灯台は、はっきりと見えてきたが、なかなか近づかない。

 はるか右手を2、3艇が抜いていく。後半の追い波レグにわずかな期待をつなぐものの、とにかく沈しないで戻ろうと言い聞かせ、灯台を目指す。やっと、かなり大回りで灯台をまわる。10キロ以上漕いだんだろうか、なんて考えながら、前を見る。帰りの追い波は、左後方から来て予想をはるかに超えて勢いがあった。疲れていなければけっこう楽しめなくもないが、今度は、スターンが右を向いてしまい(必然的にバウは左)、今ひとつうまく波に乗れない。たまに舟がまっすぐになり波を滑ると、おそろしく速い。でも、これが続かない。

 大きなオーバーヘッドという感じの波が続け様に来たーと思ったら、一瞬で沈。とうとうやっちゃった、と思い、舟とパドルをしっかりとつかんであたりを見回す。後続の舟が右手を抜いて行く。体制を整えて再上艇を試みる。パドルフロートのお世話になり、コクピットに収まる。ほとんど水船。体をひねってビルジポンプで水のくみ出しをするが、次から次へと来る波で一向に水は減らない。あきらめ、ポンプを後ろに積む。スカートを慎重に被せ漕ぎ始める。どうも、グラグラする。もちろん、遅い。ちょっと進んだと思ったら、再び左後方からの大きなうねり。間に合わない。再び沈。舟とパドルは確保したが、向こうへポンプが流れて行く。取りに行けば、舟とパドルを流すリスクが・・・と思い、諦める。まわりを見渡すと一回目の沈で大きく沖側にコースを外れたようで、あたりに、関係の舟は見あたらない。

 金井さんの言葉を思い出す。「無理しないほうが・・・」。次もあると思い、諦めることにした。周囲に関係者が全然見えないので、ホイッスルを吹いてみた。一回吹いたが反応なし。もう一度吹く。はるか岸側のヨットが反応したように見えた。さらに、もう一度吹くと、あきらかに近づいて来たので、パドルを高く上げ合図する。こちらを確認したようだ。ロープが投げられ救助してもらう。カヤックも一緒にあげてもらう。助かった。事情を説明すると、佐島の漁港まで、カヤックごと運んでくれると言う。ありがたい。何度も、お礼をし、漁港まで運んでもらった。あとは、ヒッチハイクとタクシーで葉山公園に戻る。
 レースはまだ続いていた。金井さん、Bさんにうしろから声をかけ無事を告げる。本部に事情を説明し、Bさんと一緒に舟を取りに戻る。大楠漁港正面左手の荷物置き場で静かに舟は待っていた。車に積んで、Bさんに今日の様子を話す。とにかく無事戻ってきたし、良い経験だったということでいいんじゃないかと言われる。

 沈、続出の凄いレースで結局僕を含めて3人がリタイヤしたとのアナウンスがあった。優勝は、クロシオの村山さん。2位は前田さん。シーカヤックの完漕はここまで。風は、午後になっても吹き続けた。Bさんと二人で、もう一度佐島大楠漁港へ行き、突堤でワンカップを空け体を癒した。海は穏やかに夕日を受けて輝いていた。

アスリート佐藤@矢木沢倶楽部

 
 
Last update 04/01/26
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